カイトを手当したときのように水をかけて「痛っ」とラフォーレは言いつつも手当を黙って受けていた。
たまたま切り裂いた場所が腹のど真ん中だったので助かる余地が充分にある場所だったのでよかった。

「ラフォーレ…手当しながら聞くけれどいい?」

ラフォーレはこくりと頷いた。

「貴方はさっき母上が…とか言ってたけれどあれはどういう意味なの?」

顔を下に俯かせながらゆっくりと話し出した。


「母上は我が10歳の時に知らない者たちに拐われた。丁度我が18になった頃母上は突然羽の生えた人間たちを連れてきた。我は母上がかえってきたのは嬉しかった…だけれど母上はいきなり羽の生えた人間たちに首を掴まれ、我…僕に仲間にならないと母上を殺害すると言ってきた…だから僕は…僕は……うあああ…」


短い話の中で私はなんとなく、理解できた。
もしこれで彼が失敗したのが分かれば彼の母親は…。

「ラフォーレ…」

「すまない…僕は…やっと元に戻れたのに…母上が……」

するとラフォーレは泣き崩れてしまった。
私はラフォーレを優しく抱き締め、キッと目付きを鋭くした。

「戦闘カーニバル…絶対…とめて見せる…!」

ギュッとラフォーレの服を握りしめた。