「悪いがいまはこんなご時世だ。助け合う気はない、引き下がらないのなら殺すぞ」

カイトは唸るように老人に言った。老人は舌打ちして森の中に入って行った。

「やっぱり何か企んでたなあいつ」

「そうだね…私もそう思ってた。ありがとうねカイト…」

そっとミクヤを抱き締めているカイトを見ていたおいらはふと愛した女を思い出した。
チナ…もうおいらの元には戻ってこないんだな…。
二人に気づかれないよう涙を拭った。