何時もそう、お父さんは私の意見なんてそっちの気で話を進めるんだ。

少しは私の苦労も考えろっつーの。

私は食器をシンクに運び手早く洗って自分の部屋へと戻った。


鞄を椅子の上に置き、その儘流れる様にベッドにダイブ。

タイミング良くバイブで着信を知らせる携帯をポケットから取り出し、通話ボタンを押して耳に当てる。



『あっもしもし伊桜?電話して平気?』

「うわ那智かよ、別に平気だけど?」

『「うわ」とか酷くね!?伊桜って俺に対して冷たくね!?』



那智の独り言を聞きながら誰からの着信か確かめてから出れば良かったと後悔。

那智の電話長いから用件聞いて切ろう、うんそうしよう。



「んな事ない、で?用件は?」

『伊桜、明日暇?俺と遊ばん?』

「ゴメン、明日から1週間人が泊まりに来るから無理だわー」

『…………』



何故か急に黙ってしまった那智。

この沈黙の後に何を言うか見当がつく自分がちょっと怖い。