「何もされずに無事で良かったよ」

「――……っ!!」



私と居る時に見せる事のない優しい笑顔を向けられ、ドクンと……そう心臓が大きく跳ねた気がした。


煉はそれだけ言うと直ぐ私に背中を向けて歩き出した。



「今の顔……反則……っ」



顔が炎に包まれたかの様に熱い。

心臓も先程とは比べモノにならない程の速さで脈打つ、昼休みの時と同じ感覚。


コレって矢張り恋なのでしょうか。



「オイ伊桜、何ボーッとつっ立ってんだよ。置いてくぞ!!」



かなり遠くで私を呼ぶ煉。

その声を聞くだけで鼓動が速くなる。

そしてフラッシュバックする脳裏に焼き付いて離れないさっきの笑顔。


どうやら私、とんでもない人を好きになってしまったみたいです。