うとうとと睡魔に身を任せ意識を手放そうとした瞬間、またもあの男の香水の匂いが私を包み込む。



「伊ー桜ーっ、おはよー!!」

「朝っぱらから抱き付いてくんな……」

「あれ?もしかしなくても今、ご機嫌ナナメちゃん系?」

「んー……まぁそんな感じ?」



そう言うと那智の身体はあっさりと私身体から離れる。

てか、ご機嫌ナナメちゃんて何。

ゆっくりと机から上体を持ち上げると、正面には那智の顔。驚いて眠気が一気に覚めましたよ。



「そろそろ授業始まるしクラス戻んなよ」

「えー、じゃあ伊桜がチューして呉れたら教室戻るー」

「そんなに口縫われたいの?」

「冗談ですー!!じゃあまた昼休みに会いに来るからー!!」



ひらひらと私に手を振って教室を出て行く那智。

あ、昼休み委員会だって言うの忘れた……莉紗に伝言頼めば良いか。


するとポケットの中で携帯がバイブでメール受信を知らせた。