「じゃあまた明日ねー」

「伊桜、バイバーイ」



学校の正門を出た所で友人達と別れ、最寄りの駅へと続く道を歩く。

今年は暖冬、なんて言われてたけど気象庁はアテになんないね、普通に寒い。

なんて事を考えながらブレザーのポケットに手を突っ込んで顔を口元あたりまでマフラーに埋める。



「ねぇねぇ君、今暇だったりする?」

「良かったら俺らと遊ばない?」



駅前通りの信号が変わるのを壁に寄り掛かりながら待っていると、大学生くらいの男2人が話掛けて来た。



「御免なさい、急いでるんでー」



まぁ急いでるなんて嘘だけどね。

作り笑いでそう返して、タイミング良く変わった信号を渡ろうと一歩踏み出した。


……筈が、腕を掴まれ前に進めなくなってしまった。