「楠原さん粒木さん、話が盛り上がってる所申し訳ないけど、何だか雨が降りそうな空してるから早めに帰った方が良いよ」

「あ……有難う」

「じゃあ俺は帰るから、施錠お願いね」



そう言って小桜池くんは教室から出て行ってしまった。

この瞬間から私の中に何かが引っ掛かり、モヤモヤして気持ち悪い。


窓一枚挟んで空を見上げると、確かに小桜池くんの言った通りどんよりとして今にも雨が降りそう。

そんな空を見て慌てて帰りの支度を始めた莉紗に釣られて、私も帰りの支度をする。



「何か小桜池がウチらに話し掛けて来るなんて意外ー」

「確かに!!………あーっ!!」

「い、伊桜っ!?」



私はモヤモヤの理由が解り、急いで昇降口まで走った……が、時既に遅し。小桜池くんの姿はもうなかった。