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煉の送迎が始まってから1週間、学校以外では苑くんと接触していない。

接触すると言っても、苑くんが教科書を借りに来るくらいで。その度に周りの女子の視線が痛い程私に突き刺さる。

ぶっちゃけ莉紗達と居る時以外で心の休まる暇が全くない状態。



「もう嫌だー……」

「伊桜めっちゃ疲れてね?」

「そりゃ学校を代表するイケメン2人が揃って伊桜だもん、周りの女子は黙っちゃいないっしょ」



昼休み、食堂のテーブルに突っ伏す私。

莉紗と那智は私を気遣ってか周りに聞こえない様に会話を続ける。

精神的に疲れ過ぎて食欲もない。



「伊桜、気にすんなって!!」

「明日と明後日は休みだし、あと2時間の辛抱だよ!!……って、うわ……」



莉紗の声が消えると共に食堂内は女子の黄色い声でいっぱいになった。

微かに聞こえる足音が徐々に私達の方へと向かって来る。



「伊桜ちゃん」