気がつくと、『現在のあたし』は気を失い倒れた高校生の体から抜け落ちていた。
【あれ?あたし…】
あたしはゆっくりと立ち上がるとふわりと壁をすり抜けた。
【おお、便利】
そのまま空に飛び上がると、なっちゃんを探した。
あたしの記憶では、このときは気がつくと保健室で寝ていて、なっちゃんが付き添ってくれていた。
だからきっとなっちゃんがあたしを助けてくれるに違いない。
グランドにくると、なっちゃんがあたしを探していた。
「ハル、あかり見なかった?」
「いや、見てないけど。
いないの?」
「ああ、担当競技の準備ほったらかして、姿が見えないんだ。
サボったりするやつじゃねーし。いま千代田も探してくれてんだけど、どこにもいねーんだよ。」
「じゃあ、俺も探すよ」
そこへ、ちょうど牛津先生がやってきた。
【ナイスタイミング!!先生、早くなっちゃんに教えて!!】
あたしは聞こえない声を飛ばした。
「どうした?嘉瀬」
「あ、先生。あかりがいなくなっちまって」
「神崎?神崎ならさっき競技用の網を探しててな」
【そうそうそう!早く倉庫に行ったって言って!】
「網はそこに持ってきたようなんだが」
先生はそう言ってテント横を指差した。
そこには確かに競技に使用する網が置かれている。
【なんで!?さっきはなかったのに!?
さてはあたしを閉じ込めた人達が!?】
「おれも探してるんだ。嘉瀬、もし神崎を見つけたら、ちゃんと鍵かえせよって伝えてくれ!」
そう言うと牛津先生は去っていった。
【そんな…】
これではそう簡単には倉庫は探してもらえない。
とうしよう…
案の定、なっちゃんはまた応援席のほうへ向かっていく。

