「うーん、特になんともなさそうだけど…」
そう言いながら、保健の先生はなっちゃんの方をみてクスリと笑った。
「そんなに心配なら、念のため病院行っとく?」
「いやいやいや!本っ当、大丈夫ですから」
あたしはぶんぶんと手を振った。
「本当に大丈夫か?」
「うん、大丈夫大丈夫。」
心配そうに顔をのぞきこむなっちゃんに、あたしは出来る限りの笑顔で応えた。
「神崎さん、確か南高祭の実行委員だったわね。
準備のほうが、今は最後の追い込みでしょ?ちょっと疲れてるのかもしれないわね。ベッドも空いてるし、少し休んでいく?」
「あかり、そうしろよ。」
「ええ?いや、大丈夫たよ」
「いいから!大和先生には俺から言っとくから、な!
帰りに迎えにくるから、ちゃんと寝とくんだぞ。」
なっちゃんは半ば強引にあたしをベッドまで運ぶと、保健の先生に
「よろしくお願いします。」
と、戻っていった。
「ふふ、心配性の彼氏は大変ね。」
そう言って、年配の保健室の先生はクスクスと笑った。

