ホームルームが終ると、あたしはいそいそと教室を抜け出した。


足早に階段をかけあがり、屋上の重い扉を開けようと手をかけた時、
彼の大きな手があたしの手の上に重なった。

あたしが思わず引っこめようとすると、その手を彼が力強く握り締めた。

真っ赤になって振り返ると、あたしはそのまま彼に抱き締められた。
そして、彼は耳まで真っ赤なあたしの顔を真っ直ぐに見つめた。

「あかり、俺、お前が好きだ。
俺と付き合ってくれ。」

なっちゃんの突然の告白に、あたしは雷にでも撃たれたかのような衝撃をうけた。今あたしはまさにショート寸前。
顔は真っ赤で頭の中は真っ白。


「な、なんであたしなんか?」

今にも白い煙をはきそうなあたしの目をまっすぐにみつめ、彼は優しく微笑んだ。

「お前の、まっすぐな強さが好きなんだ。」

「?」

訳がわからず首をかしげると、彼はあたしのほっぺたを両手でぶにっと掴んだ。

「ら、らっひゃん!?」

「返事は?」

「…よろしくおねがいしまひゅ」

「よし!!」

そう言ってあたしを抱きしめた彼の力強い腕に、彼の香りに、彼の胸のぬくもりに、
あたしはもう溶けてしまうんじゃないかと思った。







そのあと二人で出た屋上からみた空は、どこまでも青く青く澄みわたっていて、
あのとき見た彼の笑顔は、あたしの一生の宝物。

いつまでも彼の笑顔の隣にいたい。

あたしは強く、そう願った。