息を切らせながら職員室に着くと、ボックスのあたりにちょうど顧問の大和先生の姿が見えた。
「大和せん」
「あー!大和先生いた!!」
声をかけようとしたとき、後ろから別の黄色声が聞こえたかと思うとあたし達はぐいっと押し退けられた。
三年生の女子の集団だった。かなり目立つちょっと派手めの、普段なら絶対に職員室なんて近づかないであろう彼女達は、きゃあきゃあ言いながら大和先生を取り囲んだ。
「センセー、数学の受験勉強してたら~わかんないとこがあって~質問してもいい~?
」
「もうから受験勉強とはいい心がけだな。でも質問なら三年生の数学の先生にお願いしなさい。」
「えーセンセーがいい~」
「ね~うちらの教室で教えてよ~」
「お願いセンセー、今日はバレー部練習ないんでしょ~!」
一方的にきゃいきゃい盛り上がるセンパイ方に、あたし達は日頃の大和先生の苦労がしのばれた。
若くてイケメンで独身。三拍子揃った大和先生の女子人気は、先生達の中ではダントツ一位。大和先生目当てで部活の見学にくる女子がいるほどだ。
でも今はセンパイ方の勢いに負けている場合ではない。
こっちはなっちゃんの無実がかかってるのよ!
あたしは大きく息を吸い込むと、
「大和先生!!」
と、煮えたぎった応援団なみにお腹の底から声を振り絞った。

