「3つの鍵…そっか、職員室に急いでるわけがわかった!
貸し出し名簿か!」
花菜がぽんと手をうった。
「うん!」
そう、事件前日、あたし達二・三年生はいつも通り先に帰ったから、一年生が最後に施錠して帰ったはず。前に部室荒らしにあって以来、施錠はしっかりしているのだ。
あたし達が帰る時には、なっちゃんのロッカーにはまだ吸殻カンはなかった。
だから、あたし達が帰った後に誰かが置いたことになるわけだけど、一年生はありえない。今年の一年生は特に真面目だし、みんななっちゃんを慕ってる。
一年生が…とは考えにくい。
ということは、一年生が施錠後に誰かが忍びこんだ事になる。
万が一、いや億が一、なっちゃんが部室に戻ってタバコを吸うとしても、
鍵はどうしたのか。
事務室兼警備室の鍵は緊急事態用の鍵だから、まず持ち出せない。常に警備員さんがいるからね。
一年生の鍵の線もない。紛失したなんて聞いてないし、仮になっちゃんに貸した、とかいう証言があれば今ごろとっくに停学になっていそうなものだ。
となると残る一つは職員室。
ここの鍵は頼めば誰でも借りることができる。
ただ、すぐ持ち出せるわけではない。通常は、どの先生でもいいがとにかく先生に一言いってボックスを開けてもらい鍵をもらう。そして貸し出し名簿に名前を書く。
つまり、犯人なりなっちゃんの名前なりが名簿にある可能性があるのだ。
真犯人もバカじゃないだろうから、そんな正攻法で鍵を借りてはいないだろうから名前がある可能性は低い。勝手に持ち出した可能性のほうが高そうだ。
でもなっちゃんが隠れタバコのために鍵を借りにきたのなら、名前を書く。
だって、こんな小火騒ぎにならなければ部室を調べられる事もなく、明るみにでたりしないのだから。部室の鍵を部員が借りにくる事自体は何の不自然もない。むしろ勝手に持ち出すほうがリスクが高い。
だから、もし名簿になっちゃんの名前がなかったら…
あたし達は足を早めた。

