Believe~奇跡の鼓動~


「部室にはね、鍵が3つあるの」
走りながら話しているため、途切れ途切れになりながらも、あたしは足を止めなかった。

「一つ目が職員室。
これは、入ってすぐのボックスに全部のものと一緒にかけてあるの。」

「ああ、あれね。部室だけじゃなくて他の準備室やら、保健室やら図書室の鍵やら、いっぱい置いてあるやつね」

「そう。
で、2つ目が事務室兼警備室」

「3つ目は?」


「3つ目は一年生」

「え?何で?普通キャプテンとかじゃないの?」

「一年生が掃除をして最後に帰るし、朝練も最初にきて掃除をする事になってるから」

「え~今どき?バレー部意外と縦社会だったんだね。お堅~い」
花菜がわざとらしくおどけた顔をしてみせた。

その顔にあたしもクスリと笑みがもれた。
そう、今どき古いよね。
イケメン揃いとか言われて、女子の見学者なんかに囲まれてるから、チャラチャラしてそうに見られがちだけど、うちの部は意外とそのへんは厳しいんだ。
掃除も、上級生への挨拶も、バレーへの姿勢も。
練習についていけなかったり、『思ってたのと違う』ってやめてしまう新入生も毎年多いらしい。
あたし達二年生の代も、去年の今頃ごそっとやめちゃったっけ。

だから、うちの部がタバコなんて絶対ありえない。
今回部室の確認に集められた時も、みんな『ありえない!』と声をそろえた。
普段はおちゃらけてるけど、ほんとは真面目な努力家で、曲がった事にが大嫌い。
そんななっちゃんの性格を知ってるから、だからみんな、隠れてタバコなんてなっちゃんがそんな事するわけないって信じてる。