「まあ、そう簡単にはいかないか。とりあえず今ある情報で考えてみよ!ね!」
花菜に促され、あたし達は再び整理したメモに目を通した。
「まず、事件発生が9時ごろっていうのは間違いないんだよね」
「厳密には事件発覚。部室棟で煙が上がってるって騒ぎになって、残ってた先生達が消火したのを何人かの生徒が目撃してる。三瀬もその一人。時間は9時ごろで間違いなし。」
花菜は三瀬くんの他にも、目撃した生徒に話をきいたらしい。
「バレー部の部室っていうのも間違いないよ。さっき、先生達に現場を見せられたから。『ここは嘉瀬のロッカーで間違いないな』って」
すすで壁の一部が黒ずんだ部室。焦げ臭い空気。
そして、なっちゃんのロッカーから覗いていた、黒焦げたジュースのカン。焼け残ったラベルは、最近、購買の自販機で見かけた“新発売”の炭酸ジュースのものに似ていた。
「あ!!」
あたしは希望の光をみつけた。
「な、なによ、あかり、いきなり大声だして。びっくりするじゃん。」
「そうだよ、あのジュースのカン!!あー!もうなんですぐ気付かなかったんだろ!!
花菜、やっぱりなっちゃんは犯人じゃないよ!!」
あまりの嬉しさにあたしはジタバタと暴れた挙げ句に、おもいっきり花菜に抱きついた。
「あかり落ち着いて!あたしにもわかるように説明しなさい。」
「ジュースだよ!最近自販機に入った新発売のジュース!!」
「ああ、あの炭酸?あれ美味しかったわよ。」
「そう!炭酸!!」
あたしは花菜をビシリ!と指差した。
「なっちゃんはね、炭酸のめないんだよ。だから、なっちゃんが犯人ではありえない!!」
「なるほど。」
飛び上がるあたしをよそに、花菜は真剣な表情を崩さない。
「確かに、『なっちゃんは炭酸を買わない=吸殻入りのカンはなっちゃんの物ではない』っていう理屈は理解できる。でも、それが無実の証明にはならないわ。『拾ったカンを使ったんだろ!!』とか言われたら、反論は難しい。」
「そ、っかあ。」
しゅんと落ち込むあたしの背中をポンポンと撫でながら、花菜はさらに怖いくらいに真剣な表情であたしを見つめた。
「でも、なっちゃんが誰かにはめられたのは間違いなさそうね。」

