「誰かなっちゃんがタバコ吸ってるとこ見た事あるの?
なっちゃんからタバコの匂いがしたことある!?
ないじゃん!!
なのにそんな風に言うなんてひどいよ!!」

一瞬、クラス中がシーンと静まり返り、みんなの視線が集まった。
でも、そんなことはどうでもよかった。

あたしは、ただただ悔しくてたまらなかった。
せっかく『現在のあたし』がいるのに、何が起こるか知っていたのに、
観察だの誘導だのやったって、何の役にもたたなかった。

事件は、起きてしまった。
過去は、変えられなかった。


結局あたしは何にもできなかったのだ。


なっちゃんを無実の罪から守ってあげられなかった。



でも…


「あかり、大丈夫?」
いきなり大声をあげ動かなくなったあたしを、花菜が心配そうにのぞきこんだ。



「…花菜、あたし真相を確かめる。それで、別に真犯人がいるんなら絶対に捕まえてやる。
絶対になっちゃんの無実を証明してみせるから!」
あたしは拳に力をこめ、強い視線で答えた。


すると、
「ふふ、あかりらしい♪」
花菜はそう言って嬉しそうに微笑むと、あたしの肩をぐいと引き寄せた。

「よっしゃ!まずは情報収集ね!!」

「え?花菜、手伝ってくれる、の?」

「あったりまえでしょーが!
親友が辛そうにしてんのに、ほっとけないでしょ!!」

「か、花菜ぁ。ありがとう。」




そして、あたし達の真犯人探しが始まった。