小城に手をふった後、俺と大和先生は職員室横の渡り廊下に出た。
先生はポケットのタバコを取り出しながら、「お前も罪な男だなぁ」と、呟いた。
訳がわからないという顔をした俺に、「いや、気にするな。独り言。」と言うと、先生は慣れた手つきでタバコに火をつけると、軽く吸ってから、俺の方に目を向けた。
「で?相談って?」
「……実は、あかりのことで」
「は!?おい、ちょっと待て。
もしかして相談って、恋愛相談!??」
「?そうだけど」
先生の口から、くわえていたタバコがポロリと落ちた。一瞬呆然としてから、先生は下を向きぷるぷると震えだした。
こいつ、笑ってやがる。
やっぱり人選間違えたか。
先生は一呼吸して落ち着いたのか、顔をあげた。
…顔がにやけてやがる。
俺は激しく後悔し始めていた。
「おまえ、普通教師に恋愛相談とかするか?」
「俺だって、好きでしてんじゃねーよ。
ただ、あんたが一番いいかなと思ったんだよ。
俺達3人をよく知ってて、今の俺達の状況をわかってるし、それに…」
「それに?」
「それに時々、先生は、人の心ん中が見えてんじゃないかってくらい鋭いからさ。
それだけ、色んな経験してきたのかなって。」
先生は一瞬驚いたような顔をしてから、にっと笑った。
「ばーか、お前らがわかりやす過ぎんだよ。
大人なめんじゃねーよ。
で?なにを相談したかったんだ?」
先生の顔は相変わらず笑っていたけど、それはさっきまでのものとは全然違っていた。
その笑顔に頼もしさを感じ、俺は口を開いた。

