マンションのロビーを出ると、
真っ暗な夜の闇の中に、
ポツリポツリ と街灯が寂しく光を落としていた。


コートの首筋を、冬の冷たい夜風がすり抜けていく。

私はおもわず首をすくめた。



今日、いや、正確には昨日か、もう時計が24時を回ったから。


ほんの10分前までの
クリスマスイブ。



世間の恋人達にとって、愛をささやく特別な日。
もちろんあたし達も例外じゃない。


ただ、あたし達には、もっと特別。



12月24日。彼の、誕生日。


そして…………。











「どこにいこう」




人影のない夜道、
きこえるのは私のヒールの固い足音と、風の音だけ。




「やっぱりだめだった…」


こぼれる涙だけが温かかった。