Believe~奇跡の鼓動~

花菜の一声で、くじが始まった。

引き終わった人から順に、運悪く役員に当たった生徒は黒板に名前を書いていく。


「やった!あったり~♪」

花菜が、真っ白な当たりくじをぴらぴらとはためかせた。

「いいなあ、よ~し」

狙いを定め引いたくじをそっとめくった。


……図書委員



でも、本は嫌いじゃないし、学級委員とかにあたるよりはましかな。
黒板に名前を書いていると、後ろで、なっちゃんの叫び声がした。


「うわ~!!あたっちまったあ!!」

とたんに、黒板に名前を連ねた女子達が、一斉に振り返った。
みんな顔に期待の色を浮かばせて、なっちゃんの次の言葉を待つ。
もちろん、あたしも。


「南校祭の実行委員とかマジめんどくせ~」



がっかり。淡い期待は夢と消えた。

南校祭。ここ南校では、2学期に2日かけて、一日目は文化祭、2日目は体育祭と一気に行う。さらに最終日には後夜祭も行われ、結構盛り上がるのだ。
でも、それだけの準備となると、やはりそれなりに大変なわけで。
各クラスから選出された実行委員は、貴重な夏休みを削ぎとられてしまうのだ。

だから、南校祭は楽しみだけど実行委員にはなりたくない、それがみんなの心の声。そう、普通なら。
でも相手がなっちゃんなら…ずっと一緒にいられるなんて、まさに願ったり叶ったり。

幸運を手にした女子は誰だろう。