「ほんじゃ、そろそろ帰るか。
あかりも遅くなったらお母さん達、心配するだろ?」
なっちゃんの言葉に窓を見ると、外はすでに真っ暗で、空はもうすっかり夜の色に変わっていた。
「送って行くから。いくぞ、あかり。」
「う、うん」
あたしは急いで立ち上がると、なんとなくハルくんの方を見れず、なっちゃんの陰に隠れるようにドアに向かった。
「退院は、明後日だったよな?
バレー部のやつらも心配してるから、ちゃんと顔だせよ?」
「部活はまだ無理だけど、見学に行くよ。」
「おう、待ってるぞ。んじゃ!」
「ああ、ありがとな、那月。
神崎も、来てくれて嬉しかった。ありがとう」
「う、うん。こちらこそ、ありがとう。
じゃ、また」
あたしは結局、ろくにハルくんの顔を見れないまま病院を後にした。
病院を出て駅に向かう途中、なっちゃんは一言も喋らなかった。
自分もさっきの病室でのことが頭から離れず一杯一杯だったから、最初は気にならなかった。でも、電車の中でも、降りてからも、なっちゃんはずっと黙ったまま。
あたしはだんだん不安になった。
なっちゃん、どうしたの?
そう聞きたいのに、なんとなく怖くてきけない。
そうしているうちに、あたし達は家のすぐ側まで来ていた。

