「……あたし、やっぱ先に教室に」
「だめだめ!花菜も一緒にいて!」
「いや、だって、ほら」
花菜はちらりとなっちゃんの方を見た。
「なっちゃんの目がさ、『あかりと二人っきりになりたい』って言ってるもん」
にやりと笑うなっちゃんに、あたしの顔は真っ赤に染まる。
「でも珍しいな、千代田が引くなんて。
いつもだったら、『あかりは渡さないわよ』
って言うとこだろ」
そういえば…
はっとしたあたしが花菜を見ると、花菜は優しく微笑んだ。
そしてなっちゃんの方にその視線を移した。
「まあ、今朝のを見ちゃったらね。
なっちゃんの本気、あたしにもしっかり伝わったから。
今のなっちゃんになら、あかりを任せてもいいかなって、思えたから」
なっちゃんと花菜は一瞬お互いを見つめあうと、そのあとふっと笑った。
「じゃ、先に行ってる」
そう言うと、花菜は先に教室へと戻っていった。

