「おい!なんだ今の音は!?誰かいるのか?
体育館はいま出入り禁止だぞ!!」






この声は!!!







「…や、や、大和先生たすけて!」


あたしはお腹から声を振り絞った。







「ん?神埼かあ?
おまえどこに…な、なんだ!!?」



声のする方をみた大和先生が用具倉庫の異変に気づき大声をあげた。


開け放たれたままの用具倉庫のドアから見えたのは、先ほどハルくんが倒した三年生がごろごろと横たわる姿。
そのただならぬ様子に、先生が慌てて駆けつけてくる。




「な!!?」


先生の目に飛び込んだ衝撃の光景。

今にもあたしに突き刺さりそうなナイフ。そしてそれを握りしめる女の子の狂気に満ちた顔。

その姿に、先生は一瞬言葉を失った。




「先生はやく神埼を!」

ハルくんの声に呼び戻されるように、先生ははっとすると、すぐに彼女の手からナイフを奪い取った。


「返せ!返せ!!!」

狂ったように暴れる彼女を先生が必死に押さえつける。


「なんなんだ一体!?
おい、おまえたち大丈夫か!?」





「はい…先生ありがと…」



先生の顔を見て、ほっとして、
『ああ、助かった』そう思ったら、あたしは身体中の力が抜け、そのまま意識を失った。