あたしの手が、ナイフを握る彼女の手首を見事に掴んだ。 刺さる寸前でぷるぷると震えるナイフ。 彼女はもう片方の手も加え、力づくであたしにそれを突き刺そうとしてくる。 小さなナイフを挟んで、互いが、どこにこんな力があるのだろうと思えるほどの力でせめぎあう。 ナイフを、なんとかこれさえ彼女の手から離せれば! そうは思っても、彼女の手は頑なにそれを握りしめ、その刃をこちらに向けてくる。 このままじゃ…!! その時、突然聞き覚えのある声が体育館に響いた。