もうあたしと彼女の距離は、ほんのわずか。 あと一歩踏み出せば、その腕がお互いをとらえるほどの間合い。 「ハルくん動かないで!!」 その叫びに、あたしの前に出ようとしていた彼の動きがびくりと止まる。 きっとその身を盾にしてでも、あたしを守ろうとしていた彼。 そんなのだめ、 そんなことしてほしくない! 彼女は狂った笑みを浮かべてナイフを大きく振り上げた。 あたしは襲いかかる彼女の狂気に真っ正面から向かい合う。 「神埼!!」