ハルくんは口のガムテープを剥がすと、涙でぐちゃぐちゃのあたしの頬をその大きな手で包んだ。 「大丈夫?どこも怪我してないか?」 あたしはただこくんと頷いた。 さきほどまでの緊張と、恐怖から解放された安堵とで、口が震えて、とても声など出なかった。 頷くだけで精一杯だった。 体が震えて止まらなかった。 涙が溢れて止まらなかった。 そんなあたしを、ハルくんは優しく抱き締めてくれた。