花菜曰く、バカがつくほどお人好しらしい、あたし。
羨ましいって思うことは多くても、他人が憎いとか嫌いなんて確かにあんまり思ったことない。
最初は怒ってても、なんか理由があったのかな、とか思ってしまうと、ついつい肩入れしてしまう。
でもそんなあたしにだって、許せないことはある。
いくらフラレて傷ついたからって、こんなこと。
あたしを恨むのはお門違いだけど、
たしかにあたしとなっちゃんじゃ納得いかないって気持ちわからないでもない。
だから、百歩譲ってあたしを恨むのは許せても、その他の人を巻き込んでいいわけない。
なんの関係もない大和先生の名誉を傷つけるような事していいわけない。
あたしは目の前の彼女に、今までにない怒りを感じていた。
「あなたの流したその嘘で、どれだけの人が傷ついたと思ってるの?
大和先生や、嘘を信じた三年生の先輩が、どれだけ振り回されたと思ってるのよ!」
「そんなの、あたし関係ないし。」
「は?なに言ってるの?
関係ないわけないでしょ!?
現にあなたの流した噂のせいで」
「だーかーら、あたしは那月先輩が、ああこの女は二股かけるような女だったのか、って、
あんたを見限ってくれたらな~って思っただけ。
ほかの奴が信じたって、肝心の那月先輩が信じないんじゃ意味なんてないじゃない?
だから、二股噂作戦は残念ながら失敗しちゃったってわけよね。」
「失敗って…」
「もう、ほんと嫌なんなっちゃう。
那月先輩がこんなにも汚染されてるなんて。」
心底悔しそうな顔をした彼女。
でもその直後、彼女はニタリと笑った。
「でもね、負けちゃダメ!って思ったの。
那月先輩を守れるのはあたししかいない。
だからあたし、新しい作戦、考えたんだぁ。
これなら、きっと那月先輩もあんたの汚らわしさに気付いてくれるよ?
ねぇ、せ、ん、ぱい」
彼女はなにかが狂ってる。
あたしは言い知れぬ恐怖を感じた。

