一瞬、その場が凍りついた気がした。
あ、やば…なんか、地雷ふんじゃった、かも…?
そう後悔したときには時すでに遅し。
あたしの発した言葉で、彼女のその可愛い顔が怒りで真っ赤にかわるさまを、あたしは見た。
「…腹いせ?
違うわよ、なに言っちゃってんの?
自惚れるんじゃないわよ、誰もあんたを彼女だなんて認めてないし。」
「じゃあ、なんで」
「那月先輩のためよ」
「は?」
そこで、彼女はニヤリと笑った。
「そう、那月先輩を守るためよ。悪い虫にとりつかれた那月先輩のために、あたしがその害虫を駆除してあげようと思って。」
「が、害虫って」
ついに虫けら扱いですか。
なにげに害まであるんですか。
固まるあたしにお構い無しに彼女は続ける。
「それでね、あたしに何ができるかなって考えたの。
やっぱり一番いいのは、那月先輩が自分で気付いて駆除されるのがいいと思って、あんたと大和の噂流してみたりしたんだけど、失敗しちゃったし。」
「はあ!?ちょっと待って!
あの噂あなただったの!?」
聞き捨てならん!
今の一言聞き捨てならないわよ!
その根も葉もない噂のせいで、あたしがどんなめにあったと思ってんの!?
うっかり死にかけるとこだったんだからね!
食いつく勢いのあたしに、彼女はさも当然だというようにサラリと答えた。
「そーよ、あたし。
一年に流したら足がつくかもしれないからと思って、お兄ちゃんに頼んでわざわざ三年生に流してもらったのに、なんにも効果ないんだもん。
もう、がっかりよ」
いやいや!効果あったから!!
あなたのお兄さん、いい仕事しちゃってますから!
三年生の大和先生ファンが、ガチで信じちゃって大変だったんだから!!
あんたの流した軽い嘘がどれだけの人を巻き込んだと思ってるのよ!?

