「綺麗事」 「そうか?」 木村は、呆れたように俺を見た。 「市井くんって、欲とかないの?綾香にしても、勉強とかスポーツにしても。」 昔から、そうだった。 一番であることには、執着も憧れもなかった。 「あるさ」 唯一、誰にも渡したくないもの。 手に入れたいもの。