「…どうして?… お前はそれでいいの?」




うまく言葉が出てこない…


本当の気持ちを言えば、涙が止まらなくなりそうだった。





「この際さ、ちゃんと家庭をもったら? この前コンサートで会った人とか、すっごく素敵な人だったよ! 本当に薫の事好きで、愛してて…」




「返事になってないよ。」



はぐらかす私に、薫は怒った声で返す。




「…そっ、それに…
私も追いかけ回されたりすると、困るんだ…
仕事やりにくくなるし、職場にも迷惑かかるし…」




そんな事本気で思ってるわけじゃないのに、つい言ってしまった。






しばらく沈黙が続き、





「・・・そうか・・ じゃあ、そうしよう。元気でな。」




そう言って、彼から電話を切った…