ニヤリと笑いながらベッドに座る先輩をあたしは目で追っていた。
先輩は視線に気付いたのか、あたしを見る。

目が、合ってしまった。

恥ずかしくて、あたしはつい目線を逸らす。
何だろう、今の感覚。


「あ、例の美並ちゃん?」

「っ?」


先輩に苗字を呼ばれ、あたしは、バッと反応してしまう。
例のって何?


「環に話し聞いてたからさ。にしても良く会うな」


向けられた笑顔は少年のようで―。
無邪気だなんて思って、少しばかり微笑んだ。