二人がじゃれあっているのを横目で見ながら、環を見る。
机に頬杖を付きながら2人を見る環の横顔を久しぶりに見て、少しばかり胸が鳴った。


「お前、寛生君知ってる?」

「知ってる、けど…。何で?」

「前に寛生君が光の事話してたの思い出したから。」


先輩と環は部活の先輩と後輩だ。
だから仲も良いし、よく遊ぶみたいだった。

環と居ると、先輩には良く会うから顔は覚えられてるのかなぁ、とは思ってたりはしたけど、あたしの話しをしてるとは予想もしてない。驚きを通り越して、唖然だ。


「お前、寛生君と仲良いのかよ?」

「や、全然…」


驚きながら言い返せば、環は少しばかり安心した顔をする。

―まただ。この悲しそうな、淋しそうな表情。

時々、環はあたしに対してこんな表情をする時がある。あたしはその表情が嫌いだった。


「1年多いなー」

「寛生君」


「1年さぼりかよ」