「…幸せそうだね」

「いいでしょー。メアド交換しちゃったし」


それだけで幸せとか。まぁ、恋する乙女だもんね、
しょうがないか。でも今まで、あの人は
自分の物だ!みたいな感じだったけど、本当に
後悔したくないみたい。

…恋って凄いわ。


「美並ちゃん?」

「寛生先輩」


カーテンを開けて入ってきたのは俊也じゃなくて
寛生先輩。隣に居た恵里はニッコリ笑ってバイバイと
手を振って出て行く。多分恵里なりに気を使ったんだろう。

…けど、いらないんですけど。

恵里が出て行ったのを見てか、先輩はあたしに何かを差し出す。


「何ですか、これ」

「学校から抜け出して勝手来た奴」