フレンドリーな俊哉はそう言って恵里に手を差し出す。
握手を求めているらしい。恵里は顔を少しだけ赤くしながら、
握手をする。何か恵里は満足そうだ。

俊哉は、いつもとは違うさわやか笑顔かましてるし。

…何これ、青い春と書いて青春ですか。
…付いて行けない。


「あれ、美並ちゃんじゃん」

「寛生先輩」

「…何やってんのあそこ」


あの空間に居られなくなったあたしは、少し後ずさった。
しょうがない見届けてやろうじゃないか、とか
勝手にやけくそになったあたしは、廊下の端の方に
座っていた。見上げたら、先輩が居て。

何か青春もいいなぁ…と心の隅で思ったのは内緒にしとこう。


「青い春と書いて青春ですよ」

「…キモ」


立ち上がり、笑いながら言えば寛生先輩も笑いながら
そう返してくれる。

…何となく落ち着く。
先輩の香水の匂いが。安心させるような…。
自分も青春かな?と思ってしまい、心なしか、
微笑んでしまう。