―その日の帰り。
久々に環と一緒に帰ることになった。何となく、気まずい。
いや、あたしだけなんだけど。恵里にあんな事聞かれた後じゃ、
普通に会話出来ない。気にしなければいいのに、
考えてしまう。

あたしの想いは?…延長?それとも…?
わからない。わかりたくもない。


「…光」

「な、何?」

「…はぁ」


あ、今あからさまに溜め息付いた。
あたしは少し顔を顰める。けど、環が何かを見ているような気がして、
表情を緩める。どこかを見てる。確かに。
けど、何も見て無い。…矛盾?
違う、何も見て無いけど、想い出を見てる。


「環?」

「お前さ、何でまだ指輪してんの?」

「何でって…」


それはあたしが一番聞きたい事だ。

あんたが何でまだ指輪をしてるのか。まだあたしの事想ってくれてるの?
それとも何?ただの思い出?
…想い出の延長?