そんな時だった。


沙南と別れてから2年。

俺は街に出ていた。


いつものように歩いていると、1人の女性とすれ違った。

俺は急いでその女性に声をかけた。


「沙南!!」


俺がすれ違ったのは…


紛れもなく沙南だった。

俺が沙南を間違うわけない。

沙南はゆっくりと振り返った。


「えっ…?」


いきなり名前を呼ばれたことにびっくりした沙南は、

不審な表情で振り返る。


「……翔…ちゃん……?」


沙南は泣きそうな顔で俺の名前を呼んだ。


その瞬間、

俺の中で眠りかけていた想いが、
また蘇った。


「久しぶりだな…」

「久し…ぶり……」


俺たちの間に沈黙が流れた。

俺と沙南は、邪魔にならないように隅に寄った。


気まずい中、先に沈黙を割ったのは俺だった。


「…元気してたか?」

「……うん。
翔ちゃんは?」

「元気だよ」


俺がそう言うと沙南はほっとしたような顔をした。

そんな沙南を見て俺も安心した。