きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「まぁ、そこまではよかったんだが・・・一が船に乗った後、腹痛を起こしたらしいんだ。」


「えっ?斉藤さん、大丈夫なんですか?」


「ああ。すぐに医者に見せたらしいから問題ねぇ。」


「よかった。」


私は斉藤さんが無事だと聞き、安心した。


土方さんは話を続ける。


「問題は一を医者に連れて行く途中だ。」


土方さんは頭を抱えた。


「一を連れて行く途中の橋で力士と出会ったらしいんだが、お互いに道を譲らず、芹沢の野郎がその力士を『たかが力士が武士に対して失礼だ。』と鉄扇で殺しやがったんだ。」


「えっ・・・」


私は芹沢さんの横暴さに思わず言葉を失った。