きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「土方さ〜ん。ただいま『あんっの馬鹿共が!!』」


土方さんの部屋にたどり着き、挨拶をしながら障子を開けた途端、土方さんの怒鳴り声がした。


「あの・・・土方さん?」


私は恐る恐る土方さんに声をかけた。


「んあ?ああ、華か。」


土方さんは忌々しそうに紙を握り潰した後、放り投げた。


「あの・・・どうしたんですか?」


「どうしたもこうしたも芹沢の野郎がまた問題を起こしやがった。今回は他の隊士も同罪だ!・・・ったく。かっちゃんの顔に泥を塗りやがって。」


土方さんの話によると、大阪での浪士の捕縛は思いの外、早く片付いたそうだ。


そして近藤さんが奉行所に報告に行っている間に芹沢さんが船涼みをすると言って近藤さんを置いて出て行ってしまったそうで・・・


「それで、他のやつらも近藤さんを置いて船涼みに付いて行きやがったんだ。」


土方さんはため息をつきながら話続けた。