きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

私と平助くんはあてもなくブラブラと散歩していた。


「もう、仕事や屯所には慣れた?」


不意に平助くんが聞いてきた。


私のこと、気遣ってくれてるんだと思ったら何だか嬉しかった。


「うん。仕事は大変だけどね。楽しいよ。」


私は素直に答えた。


仕事はすごく大変だ。


でも、私はこの仕事にすごくやりがいを感じているし、何よりも浪士組の皆がいる。


父上も母上も亡くして家族のいない私には浪士組が家族みたいなものだ。


家族だと思っているのは私だけかもしれないけど・・・


「そうかぁ。でもさ、困ったことがあったら何でも言ってくれよ。皆、一緒に暮らしてるんだ。家族みたいなもんだしな。」


平助くんの言葉がすごく嬉しかった。


平助くんも家族みたいなものだと思っていてくれて何だか泣きそうになった。


「ありがとう。」


私は笑顔で平助くんに言った。


「・・・やっぱり好きだなぁ・・・」


平助くんが呟いた言葉は私の耳には届かなかった・・・