きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「華!無事か?」


刀を納めながら土方さんが言った。


「あ、はい。でも、あの、腰が・・・」


「腰?斬られたのか?」


「いえ・・・腰が抜けました。」


私はあまりの恐怖で腰が抜けてしまい、立ち上がる事ができなかった。


「しょうがねぇな。」


そう言いながら土方さんは私の膝の裏と背中に手を置き、ひょいと持ち上げた。

いわゆるお姫様抱っこだ。


「ちょ///土方さん」


恥ずかしくなった私は思わず土方さんの着物を掴んで言った。


「これはちょっと恥ずかしいです///」


「おめぇ、腰抜かしてんだろ。つべこべ文句言うんじゃねぇ。」


「はい、すみません・・・」


「店主。店の前で騒ぎを起こしてすまなかったな。すぐに隊士をよこす。」


土方さんはおじさんに言いながら、私を抱えて屯所へと戻った。