きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「おじさ〜ん。沢庵ひとつくださ〜い。」


新撰組馴染みのお漬け物屋さんに着いて店のおじさんに叫んだ。


「おや、お華ちゃん。沢庵、ひとつでええんかいな?」

店の中から店のおじさんが顔を出しながら聞いてきた。


「おじさん、こんにちは。うん。今日は土方さんのお使いなの。だからひとつね。」


私は笑顔で挨拶しながらおじさんに答えた。


「土方さんのお使いどすか。ほな、はよ持って帰らなあきまへんな。」


おじさんはそう言って手早く沢庵を包んでくれた。


「はいよ、お華ちゃん。」


「ありがと。」


私はおじさんにお金を渡しながら言った。


「毎度、おおきに。」


「おじさん、またね。」


私はおじさんの方を見ながら、急いで屯所に帰ろうと走って店を出た。