きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

書類をめくる音と筆の音が静かな部屋に響いていた。


「はぁ〜。なんっか落ち着かなねぇ。」


俺はさっきから書類をめくって書いては筆を置き、また間をおいては書類をめくり始めるという動作を繰り返していた。



「チッ。嫌な予感がしやがるぜ。」


さっきから妙な胸騒ぎがする。



「大阪に向かった連中が何か面倒でも起こしやがったか?」


あの、芹沢の野郎がいやがんだ。

可能性はあるな・・・



「チッ。また面倒が増えるな。」


そう毒づきながら、また机に向かったところで、俺はもうひとつの可能性に気が付いた。



「まさか・・・華か?」



俺は妙な胸騒ぎを抱えたまま屯所を出て、華を探すため町へ向かった。



〜土方side・END〜