きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「これで芹沢先生と一緒に逝ける。」


そう言いながらお梅は芹沢に寄り添うように倒れ込んだ。


「すまねぇ、土方さん。平間に逃げられた。」


左之と山南さんが来た。


「こっちも終わった。平間に逃げられたのはしょうがねぇ。もう屯所には戻って来ねぇだろ。行くぞ!」


そう言って、芹沢たちの部屋をあとにする。


戻る時も誰にも見つからぬよう注意しなきゃなんねぇ。


俺のあとから総司、山南さん、左之と続く。


「あとはこの暗殺を長州の仕業に見せかけるだけですね。」


相変わらず暢気な声で総司が言う。


「ああ・・・」


俺は少し上の空で総司に答えた。


さっきのお梅を見てから俺はある事を考えていた。


随分、考え込んでいたのだろう。


気付けば自分の部屋へと戻っていた。


俺は衝立の奥の華の部屋を見つめながら、ある事を心に決めていた・・・




〜土方side・END〜