きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「山南さんと左之は平山と平間を頼む。俺と総司で芹沢を斬る。」


平山と平間程度の腕なら山南さんか左之、どちらか1人でも十分かもしれねぇが、失敗は許されない為、2人にする事にした。


「いいか。必ず女も一緒に仕留めてくれ。それから、平山と平間を斬り終わったら俺たちの所へ来てくれ。」


俺は山南さんに念を押した。


山南さんは優しすぎるから少しばかり心配ではあるが、ここは鬼になってしまうしかねぇ。


「失敗は許されねぇ。芹沢に対する恩を忘れたわけじゃねぇが、奴はやり過ぎた。新撰組の為にも消えてもらう。この暗殺は長州藩の仕業に見せかけるんだ。決して俺たちの存在を知られちゃならねぇ。いいな?」


「もう、土方さん。分かってますって〜。」


「総司・・・」


総司は相変わらず緊張感がねぇ。


話しているうちに大分時間も経ったようだ。


「そろそろ頃合いか。」


「おう。じゃ、山南さん俺たちは行くとするか。」


肩に槍を担いだ左之が言った。


山南さんと左之は平山と平間の元へ、俺と総司は芹沢の元へと向かって行った。