きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

そろそろ頃合いか?


芹沢は先ほど厠に行ったが、すでに足どりは覚束ない。


お梅に支えられてやっとと言った感じだ。


まぁ、もう少し飲ませておくか。


「芹沢さん。どうぞ。」


俺は厠から戻って来た芹沢にさらに酒をすすめた。


「そろそろ寝るかのぉ。」


外が小雨から大降りに変わった頃、芹沢が言った。


「そうですね。我々は一度角屋の様子を見に戻りますので、芹沢さんたちはどうぞお休み下さい。」


俺は終始作り笑いを浮かべたまま言った。


「そうか。では、わしは寝るぞ。」


そう言って芹沢が寝所に向かったのを合図にそれぞれ女を連れ、寝床へと向かい、俺と総司は山南さんと左之と合流するため、芹沢の部屋を出た。