きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

ポツッ


「あれ?」


何かに気付いたのか総司が天を見上げる。


ポツッポツッ


「どうやら降り始めたみたいだね。」


総司と同じように天を見上げてた山南さんが言った。


「へっ。好都合じゃねぇか。今から俺と総司は芹沢たちにさらに酒をすすめに行く。山南さんと左之は俺たちが戻ってくるまでここで待機していてくれ。」


芹沢は神道無念流の達人だ。


素面で相手にすると逆にこちらがやられる事になりかねない。


そこで、俺は芹沢にたらふく酒を飲ませて酔い潰してから寝静まった頃に殺る事にした。


「芹沢たちにはそれぞれ女を同衾するはずだろ?女たちはどうするんだ?」


「左之。目撃者は残せねぇ。女たちには悪いが一緒に消えてもらう。」


そう。


目撃者がいてはならぬのだ・・・