きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「華・・・ありがとう。」


耳元で小さく、土方さんが言った。


「今の華の言葉で思い出したぜ。俺はかっちゃんを武士にするんだ。もう・・・迷わなねぇ。」


土方さんは私から体を離すと力強い瞳で言った。


いつもの土方さんに戻ったみたいだ。


「いつもの土方さんに戻りましたね。」


私は笑いながら言った。


「ははっ。いつもの俺は『鬼の副長』だからな。」


土方さんは笑いながら言った。


最近、土方さんはよく笑ってくれるようになった。


「さ、明日も仕事だ。寝るぞ。」


そう言って、土方さんは自分の布団をひきはじめた。


「はい。」


私も布団をひく。


「おやすみ。」


「おやすみなさい。」


布団をひき終わり、私たちは眠りについた。


少しだけ土方さんに近付けた気がする、そんな夜だった。