きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「実は・・・昨日の夜、聞いてしまいました。」


私は土方さんの目を真っ直ぐと見て言った。


「昨日の夜?」


土方さんは訝しげに言った。


「はい・・・昨日の土方さんのお言葉を。聞くつもりは無かったのですが、なかなか寝付けなかったもので・・・」


私が言った途端、土方さんが息を飲んだのが分かった。


「そうか・・・」


しばらく無言が続き、漸く土方さんが言った。


「明日、芹沢さんを殺すおつもりなんでしょう?」


私は土方さんの瞳を見つめ言った。


「・・・よく分かったな・・・」


土方さんは絞り出すような声で言った。


「昨日の土方さんのお言葉で、いつかはと・・・ですが、先ほどの土方さんのお話しで明日だと確信しました。」


「先ほどの俺の言葉?」


土方さんは何故私が分かったのか分からないと言った風だ。