きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

〜土方side〜




「もう、後戻りはできねぇ・・・」


新見に切腹させた後、部屋に戻った俺は自分に言い聞かせるように呟いた。


芹沢たちの暴挙は新撰組にとっても目に余るものだった。


かっちゃんを唯一の局長にする為に芹沢たちを邪魔に思っていたのも事実だ。


だが、松平公の命とは言え、芹沢を消すことに少し躊躇いがあったのも事実だ。


俺たちが京に残り、会津藩お預りとなれたのは一重に芹沢のおかげだ。


芹沢がいなければ、俺たちはただの浪人の集まりで終わっていただろう。


芹沢の押し借りで俺たちが食ってこれたのも事実だ。


芹沢の金が無ければ、俺たちは食うのもままらない生活だっただろう。


今の俺たちがあるのは、良くも悪くも芹沢のおかげだ。


「そんなこと分かってるさ・・・」


だが・・・