きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

〜土方side〜


「止まれ。貴様ら、何者だ。」


御所へと着いた俺たちは門を通ろうとした瞬間、門番に槍を突き付けられ、止められた。


「我々は京都守護職・松平容保様お預りの壬生浪士組である。松平様のご命令で御所の南門への召集を受けております。お通し願いたい。」


近藤さんが門番に言った。


「そのような話、聞いておらぬ。通すわけにはいかぬ。帰れ。」


しかし、門番は聞き入れず尚も槍を突き付けた。


「どけ。近藤。」


そこへ先ほどまで浴びるほど酒を飲んでいた芹沢が前へ出た。


「我々は京都守護職お預り、壬生浪士組である。速やかにお通し願おう。」


それは、いつも酒を飲んでは暴れる芹沢と同一人物だとは思えぬほど、威厳に満ち溢れた声だった。