きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「おっ。やっと俺らの出番かよ。」


原田さんが少し、おどけた声で言った。


「静かにしろ、左之!」


土方さんが原田さんに言った。


「いや、左之の言う通りだ。やっと我々の力が必要とされるのだ。」


近藤さんが皆に向かって力説する。


「皆、出陣だ〜!!」


「「「「お〜!!!!」」」」


皆の士気が高まり、御所へ向かうため、それぞれ、準備をするため、広間を出て言った。


「華。」


一番最後に広間を出ようとした私は土方さんに呼び止められた。


「何でしょうか?」


私は立ち止まり、土方さんに聞いた。


「いや。もしかしたら怪我人が出るかもしれねぇ。その時はよろしく頼む。」


「はい。」


私はニッコリと笑いながら土方さんに言った。


「では、行ってくる。」


「ご武運を。」


私の言葉を背中で聞きながら、土方さんも広間を出て行った。


そしてすぐさま、浪士組は御所へと向かって行った。